真夏のコラム・共感と努力

共感と努力

私自身、30年間の会社員生活は、講師として全国の都道府県や市町村に研修などで伺う機会をいただきました。

仕事とはいえ、新しい土地の商店街などを歩くことが楽しみになっていました。
駅前の店舗でシャッターが閉まっている状況を見る度に、日本の未来から、自分自身の役割を考えることが増えました。
そこで、人材開発について基本的なことですが、改めて教えていただいた日を紹介いたします。

真夏、不思議な出会いをしました。

京都市内のある企業で管理職対象にマネジメント研修講師を務めた帰り、著名な偉人のお墓に自然と足が向きました。
そこで、人影もない静かな墓地を掃除していた一人の初老の男性から声を掛けられた時、聞いた言葉が「共感」「努力」という言葉でした。
この男性は、京都を発祥とする企業について、歴史から歴代の社長(本人がお会いした)について、とても詳しく、また、京都の戦後の歴史と日本経済の発展まで丁寧に教えてくれました。
初対面にもかかわらず、惜しげもなくご自身の生きてきた経験を教えてくれました。
しばらく、話を伺うと、実際に会社を経営されている社長のようでしたので、失礼ながら所属を尋ねましたが、「自称、暇な老人」としか応えてくれませんでした。
その男性は、一貫して「成功する人物」の特徴を引き合いに出し、「人としての在り方」を教えてくれました。
人よりもほんの少しだけ努力する、何でも構わない。』『それと人の心に共感する』ということでした。

今から思うと、ビジネス雑誌だけではなく、学校でもよく聞く言葉でしたが、男性から聞こえる声には、妙に納得感がありました。
ほんの少しだけ努力ができるという言葉に続いて、男性の職場にいる「毎日、毎日、欠かさず挨拶をする人、人のために何か尽くせる人」を紹介してくれました。

利他の精神

つまり、「利他の精神」ですね。自分自身だけではなく、人のために何か尽くせる人について紹介してくれたと思います。
さらに、共感は、例えば、相手の方が「何に困り、悩んでいるか」を冷静かつ客観的に理解する行為を示します。
これも、人に役立つために、自分でできることを行う行為を示したものと思います。
私自身、会社を離れ、中立的に雇用側と就職を希望する受験者にとって役立つことをしたいと思っています。
その為に、何ができるかを考えている最中に、当時、書き留めた日記を読み返しました。
お互いのメリットになるという理想は、難しいことは承知ですが、自分の中で公平な倫理観を持って取り組むことでバランスを保ちたいと思います。
これからも、雇用側にとっては、組織に入って貢献できる、活躍する人を分析し提案をすることで、人も組織も幸せになるように努めます。
また受験者にとって、一人ひとりの職務適性を分析することで、幸せになる場を見つけるために役立ちたいと考えます。
過去のキヤリアから、新しいステージに向かいたいと思います。

暑い日がもう少し続きます。バランス感覚を保ちながら秋を迎えましょう。川村稔