採用で”人物像”は必要か?

職場で必要な”資質”

人物像を設定する工程をご紹介します。

研修を通じて以下のプロセスを行います。各自で行ってください。

⑴一人ひとりで欲しい”人物像”を考えてください。

⑵次に、できるだけ具体的”に書きだしてください。

⑶書き出した理由、必要な理由を書いてください。

例えば”明るい人”という単語を書く方は多いと思います。

明るいという”言葉の定義””具体的な行動”そして”求める理由”を深堀しながら考えます。

例えば、『明るい人』を人物像と仮定した場合

左の①から⑨は講師、右は➠研修参加者と想定します。

①どのような人を採用したいと思いますか?➠明るい人です。

②明るい人の具体的な行動を書いてください➠例えば、挨拶のできる人です。

なぜ?挨拶のできる人が欲しいですか?➠挨拶運動中ですから。

具体化する。

なぜ?挨拶運動するようになったのですか?➠報連相の一環です。

なぜ?報連相の推進運動を推進しているのですか?➠ミスやトラブルが多くなったからですね。

なぜ?ミスやトラブルと挨拶が繋がるのでしょうか?コミュニケーション不足が原因で、”伝えたつもり”が多くなった。

また一人ひとりが孤立した仕事をしていることも増えたからである。何より人に関心を寄せない人が多くなったから。挨拶は基本的な人間関係のベースですから。

面接の確認内容。

⑦挨拶から何を期待しているのでしょうか?➠声を掛け合う人が増えて欲しい

⑧声をかける言葉は何か?➠”おはようございます”などの言葉からです

⑨挨拶の仕方は?自分から率先挨拶ができる人が欲しい。

単に”明るい人”から、自分から率先して挨拶のできる人”に変わりました。

そして、本人に具わっているか、また意識か無意識な行動かを確認します。

面接を通じて確認することや、必要があれば論文などで確認をします。

人物像に沿う質問。

挨拶はできますか?意識していますか?というストレートな質問を避け、”挨拶”についての捉え方過去の習慣について確認をします。

1つの”明るい”というキーワードから連想して考えてゆくことで、面接で採用する人物像を具体的に構築できるだけではなく、具体的な確認すべき事項まで考えることで面接官が当事者として納得した面接を進めることができます。

言葉の注意点。

面接官研修を行うと参加者から”明るい人”という表現が出てきます。しかし、明るい云々は抽象的で誤解を招くこともあります。評定票=採用時の基準書にも”明かるい”などを見ることがあります。

しかし、面接官によって捉え方は千差万別です。捉え方が異なると面接官の採用はバラバラになり、組織として機能不全に陥るリスクがあります。

実は、この”明るい”は、社員研修でも頻繁に出る言葉ですが、やはり抽象的過ぎてしまい、社員にとって困惑する言葉にもなることがあります。

抽象的な言葉が招く誤解。

ある新人研修で上司から、”明るくなりなさい”と注意され困っている新人から相談がありました。改めて話を聞くと、上司の意図は考え過ぎずに、自分の意見を言えるようになって欲しいという意味だったようです。

新人は、どのようにしたら良いのか分からず、1人で悩んでいました。このように、抽象的な言葉は誤解を招く危険性があります。

採用面接では抽象的な言葉から、具体的な行動などに変え、面接官だけではなく受験者にも”自社で求める力”として具体的に明記することで仕事に対する誤解が減り、受験者と採用面接官も双方が幸せになると思います。

求める人材像の提示。

多くの企業や組織で”求める人物像”を提示しています。これは上記のように、組織で必要な力を提示することで、受験者が企業などを選ぶ際に役立てます。無論、受験者自身が自分の特徴を客観的に理解していることが前提になります。

客観的に自分を理解していることは、入社してから、職場で求める力や資質などと合わずに退職するリスクを減らすことにも繋がります。

面接では、組織は”どのような力”を必要とするのか受験者は”どのような力を具えているか”を知ることが大切であることを説明してきました。

採用面接を成功に結び付けるには、多くの事前準備をしなくてはなりません。しかし、この準備を通じて、所属する組織の姿を知り、面接官自身の振り返りにも繋げることができます。是非、採用面接を始める前に、各職場で討論会を開いて欲しい思います。

みなさんは、”明るい”?と質問されたらどうされますか。いつも悩む質問です。快晴のお天気くらいでしょうか。言葉の持つ意味を改めて考えさせられました。