2040年頃から顕在化する地方行政の諸課題に対応する採用戦略
2040年に向けて公務に求める資質を明確にする。
2040年頃にかけて大きく変化する人口構造は、公務の担い手を採用するにあたり影響を及ぼしてきます。
地域や組織の枠を超えた在り方を見直す構成力や連携、地域のイノベーションを創造し、促進する人材を採用、育成することが求められます。これらの背景を踏まえた人材の採用を効果的にするために、公務員の必要な資質を明確にした採用を行う必要があります。
地方公務員のコアコンピテンシー(行動特性)は何か?
公務で求める人材要件は、大きく異なります。その違いをコンピテンシーで明らかにして採用することが重要になります。
仕事により必要な能力や行動=高い業績や高い評価につながる行動特性をコンピテンシーと呼びますが、『なぜ?そのような行動をしたのか』をキーワードに面接で確認をして評価します。
行動特性は、『思考』と『行動』が一体となり現れる特性であり、評価を客観的に分析するために必要な概念です。
公務員の仕事では、コミュニケーション能力、持続力、継続力を中心に、目標を完遂させる達成力が必要になります。
その上で、周囲を巻き込みながら想定外の課題に対しても向き合える地力を求めます。
また、権限委譲により複雑で新しい案件が増えていることもあり、壁を乗り越えるバイタリティや高いストレス耐性を求めます。これらは、採用選考において重視をしたい項目です。
❶コミュニケーション能力は「公平性・中立性」と「客観性」を持つ俯瞰力
❷持続力は、異動を柔軟に受け入れ、目標に向けて遂行する力
❸ストレス耐性は、ストレス発散を意識した行動や、ストレスをプラスに思考できる力
公務員を志望する受験者へメッセージ
公務員で求めるコアコンピテンシーを理解し、『適性を向上させる経験を積む』などをして地方公務員を目指して欲しいと願います。職場で『貢献』するためにも意識をしてください。
職業人として、使命感を持ち、住民の幸福を願い、地域の発展に貢献し住みよい街づくりをするためにも、最後まで遂行する力を磨くようにしましょう。
特別研究『人材確保を考える(採用戦略)研究会』の指導助言者。
私が、地方公務員の採用選考の仕組みに精通する転機は、おおさか市町村職員研修研究センター主催 平成20・21年度特別研究『人材確保を考える(採用戦略)研究会』の指導助言者を務めたことです。
10市役所の人事課メンバーと研究活動を行う。
この研究会は、豊中市・池田市・高槻市・枚方市・守口市・門真市・東大阪市・八尾市・東大阪市・河内長野市・岸和田市の人事課メンバーと公務員の採用活動について研究活動をしました。
行政職、保健師、消防士、土木職のヒアリング。
実際に行政職、保健師、消防士、土木職などの職務に就いている方々を対象にヒアリング(職務分析)を行いました。
民間企業と自治体では、採用のあり方が異なります。民間企業の同じ業界でも1社ごとに異なりますし、自治体においても、各市町村単位で人材像や職種によっても異なります。
共通の事項と職種で異なる要件を明確に定義することが採用戦略を考える基本であると今回の研究活動を通じて再認識いたしました。
都道府県、市町村、公的団体の採用.面接システムの構築。
この研究会を契機に、多くの都道府県、政令市、中核市などの採用評価システムを構築する機会を得ました。具体的な評価票は改めてお問い合わせいただきたいと思いますが、客観的な要件であるコンピテンシーモデルを作成し報告書にまとめることができました。
自治体の面接官を受託。
実際に、30年間の間で複数の市町村から採用面接官をご依頼いただきました。主に質問をすることと職務適性の分析を行いました。
国際会議の会社から通算35年間の面接になります。企業からも採用面接官を依頼されていましたが、公務員の面接官に求められる資質は大きく異なりました。
公務員の面接官を受託するために。
公務員の面接官を依頼された時に心掛ける必要がある事柄を紹介をします。
❶公務員の仕事全般に精通する❷配属先で求める要件をリサーチする❸職務遂行上必要となるコンピテンシーを知る❹評価票の内容を理解する❺公平な面接をする❻就職差別につながる言葉などは絶対に避ける❼新卒だけではなく、社会人の面接にも精通する❽提出書類から人物を分析できる❾様々な筆記試験、適性検査に精通する➓受験者に合わせて柔軟に質問を行う⓫公務員で求めるストレス耐性を知る⓬依頼された市町村の特色を知る、志望動機になる場所を見ておく・・・。
多くは民間企業でも共通する事項だと思いますが、より公平性を心掛けるために面接官は事前準備を入念に行う必要があります。様々な専門性を求める職業だと思います。
採用.面接のアドバイザーとして
全国の市町村会から採用面接官研修の講師を依頼され、また全国の市町村に訪問し、実際の現場や職員のみなさまと話す機会を得てさらに評価システムの精度向上に繋がったと言えましょう。
『採用.面接のアドバイザー』はお客様から名付けていただきました。
正確には『公務員の採用.面接のスーパーバイザー』です。