採用で評価をする”意識して行動する力”(コンピテンシー)

安定と持続力を発揮するコンピテンシー。

30年間以上も適性検査を扱っていたこともあり、職場で活躍する人物像を能力と性格行動から分析してきました。

しかし、これからは、適性検査から離れ、様々な角度から立場でコンピテンシー(competency)の重要性を提言したいと思います。
コンピテンシーは、同じ問題が2度と起きないように構造的な解決を実現させる力であり、その解決の効率を上げる能力』とし、『単に知る、行動する、感じるなどの能力(ability)とは異なり”情”の発動を伴っている』ものであるとしています。

発揮される力。

コンピテンシーは現時点で発揮されている能力そのものを評価をするものであり、適性は将来の職務遂行能力を予見しようと試みていると考えます。
分析は、面接などを通じて抽出された高業績者の決定的な意味を持つ行動を記述することから出発をします。
性格などは将来の可能性と位置づけ、一方、コンピテンシーは現時点における発揮できる力を評価するものです。

面接で導き出す。

面接において、過去の経験からPDCAに沿った行動ができていたか、または、再現性のある力を具えているかを評価してゆきます。
偶然ではなく、意識をして行動のできる力とも言えましょう。
そのベースに、外向、内向などの性格特徴もベースにはありますが、その上に顕在化された力として成果を出すことが評価の分岐点になります。
無論、成果を出せないとしても、そこまでに至るプロセスを確認することで、自分で考える自発性、計画、実行、修正などの力を具えているかを評価します。

コンピテンシーの要素。

1.知的能力・知識
実際に必要とされる知識とそれを獲得するために必要な基礎能力
2.人格の安定性
自分の強み、弱みを正しく認識し、それを受容しつつ、自分の態度・行動をバランスよく選択できる能力
3.対人面の鋭敏性
相手のちょっとした働きから気持ちや意図察する能力
4.広い視野と独創性
広い視野、客観的な視点、柔軟な姿勢などによって新しい枠組みを創り出し、課題を意味付けする能力で、変化やイノベーションに対する柔軟性でもある。
5.成熟性・責任感
正しい自己理解に基づき、誠意と忍耐をもって課題に取り組み、責任を全うしようとする態度・姿勢
6.人間関係スキル
さまざまな考えを持つ人と効果的な人間関係を作り、自分の役割を定めながら協働していくスキル
7.野心・上昇志向
競争心、成長意欲課題解決に対する粘り挑戦心果敢な自己主張にもつながる基本的な欲求特性

注目する要素。

上記で私が特に面接で注目しているのは人格の安定性対人面の鋭敏性です。
職務を遂行する上で、自分の強みと弱み(得意と不得意)を客観的に知ることは、様々な経験を通して学ぶことだからです。
またその経験から、成果に結びつける力を持っているか知ることができます。
この自己理解は、研修を通じて適性検査を用いて行いましたが、客観性=多数の中における自己の存在位置を知るのは非常に難しいと長年の講師経験から思いました。
研修では、人から見た自分像を描いてもらいながら自己との一致点を探してもらいます。しかし、多角的な関係性の中で知ることがより重要になります。
また、鋭敏性は過度に人の視線を意識する意味ではなく、感情を読む力、察する力など資質的な部分もあると思える領域です。
合わせて、対人面の柔軟性、人間関係スキルも複雑な人間関係を紐解きながら仕事を進める上で必要不可欠です。
私自身、これら人間関係に関わる特性や力について、面接や履歴書、論文などから分析を専門に行ってきました。質問紙法の適性検査だけでは分からないことがあることから、面接などを通じて観察をする分析も重要な要素だと考えています。

総合的な人間力。

各資質や要素などを分析しながらも、最終的には総合的な人間性を理解すると良いでしょう。
たとえ、各要素は高くても、共に仕事をしたい人なのか?部下にできるか?後輩として迎えることができる人なのか?などを考慮します。
いわゆる知識を吸収する力=偏差値が高くとも、誠実・信用などのキーワードがなければ不安を抱えながら仕事をすることになります。
最後は、人間性ですね。難しいテーマです。
今後、定期的に分析方法や磨き方を提言します。  
参照.
参照:人事アセスメント入門 二村英幸著
適性検査で気質や性格などを分析してきました。
人を知るベースであり、資質を知る意味はありましたが、成果につながる力としてコンピテンシーを用いて面接をしてきました。
成果に結びつける行動は何か、具わっているのか?などを探し明確化してゆきます。