公務員と職種適性を研究する専門家を志す。
特別研究『人材確保を考える(採用戦略)研究会』の指導助言者。
私が、地方公務員の採用選考の仕組みに精通する転機は、おおさか市町村職員研修研究センター主催 平成20・21年度特別研究『人材確保を考える(採用戦略)研究会』の指導助言者を務めたことです。
10市役所の人事課メンバーと研究活動を行う。
この研究会は、豊中市・池田市・高槻市・枚方市・守口市・門真市・東大阪市・八尾市・東大阪市・河内長野市・岸和田市の人事課メンバーと市役所職員の募集、選考試験、各面接、職種別評定票、求める人材像の研究まで幅広く研究活動をしました。
行政職、保健師、消防士、土木職の職務分析を行う。
実際に行政職、保健師、消防士、土木職の職務に就いている職員を対象にヒアリングと職務分析を行いました。
民間企業と自治体では、採用のあり方が異なります。民間企業の同じ業界でも1社ごとに異なりますし、自治体においても、各市町村単位で人材像や職種によっても異なります。共通の事項と職種で異なる要件を明確に定義することが採用戦略を考える基本であると今回の研究活動を通じて再認識しました。また、職種において、明らかな適性の違いを見出し、それを評価するための検討を行いました。
都道府県、市町村、公的団体の採用.面接システムの構築。
この研究会を契機に、多くの都道府県、政令市、中核市などの採用評価システムを構築する機会を得ました。具体的な評価票は改めてお問い合わせいただきたいと思いますが、客観的な要件であるコンピテンシーモデルを作成し報告書にまとめました。
自治体の面接官を務める。
実際に、30年間の間で複数の市町村から採用面接官をご依頼いただきました。主に質問をすることと職務適性の分析を行いました。国際会議の会社勤務から通算35年間の面接になります。企業からも採用面接官を依頼されていましたが、公務員の面接官に求められる資質は大きく異なることが分かりました。
公務員の面接官に必要な資質。
公務員の面接官を依頼された時に、以下の事項を勉強、調べる、心掛ける必要があると思います。
❶公務員の仕事全般に精通する❷配属先で求める要件をリサーチする❸職務遂行上必要となるコンピテンシーを知る❹評価票の内容を理解する❺公平な面接をする❻就職差別につながる言葉などは絶対に避ける❼新卒だけではなく、社会人の面接にも精通する❽提出書類から人物を分析できる❾様々な筆記試験、適性検査に精通する➓受験者に合わせて柔軟に質問を行う⓫公務員で求めるストレス耐性を知る⓬依頼された市町村の特色を知る、志望動機になる場所を見ておく・・・。
多くは民間企業でも共通する事項だと思いますが、地方公共団体では、公平性を採用でも求めることから、上記の事前準備を入念に行う必要があります。
講師活動本格化。
全国の市町村会から採用面接官研修の講師を依頼され、また全国の市町村に訪問し、実際の現場や職員のみなさまと話す機会を得てさらに評価システムの精度向上に繋がったと言えましょう。
『採用.面接アドバイザー』はお客様に名付けていただきました。講義などを始める前に、『公務員の採用.面接アドバイザー』としてご紹介いただきました。
地方公務員のコアコンピテンシー(行動特性)は何か?
仕事により必要な能力や行動=高い業績や高い評価につながる行動特性をコンピテンシーと呼びますが、『なぜ?そのような行動をしたのか』をキーワードに面接では確認をしてゆきます。行動特性は、『思考』と『行動』が一体となり現れる特性であり、評価を客観的に分析するために必要な概念です。
公務員の仕事では、コミュニケーション能力、持続力、継続力を中心に、目標を完遂させる達成力が必要になります。
その上で、周囲を巻き込みながら想定外の課題に対しても向き合える地力を求めます。
また、権限委譲により複雑で新しい案件が増えていることもあり、壁を乗り越えるバイタリティや高いストレス耐性を求めます。これらは、採用選考において重視をしたい項目です。
公務員を志望する受験者へメッセージ
公務員で求めるコアコンピテンシーを理解し、『適性を向上させる経験を積む』などをして地方公務員を目指して欲しいと願います。職場で『貢献』するためにも意識をしてください。
職業人として、使命感を持ち、住民の幸福を願い、地域の発展に貢献し住みよい街づくりをするためにも、最後まで遂行する力を磨くようにしましょう。