”共感性”を高めよう!
基盤となる『共感性』
共感性の定義
共感性の定義として「ある人の考えていること、感じていることなどが自分自身の中に移し換え、その人の内的世界と似た世界を自分の中に作り出してゆくこと」を共感性と言います。
また能力を共感能力と定義します。
この共感能力は、人と関わる仕事をする人は全て求められる力になります。
営業、事務職に関係なく仕事を円滑に遂行させるために、『共感性』は必要になるでしょう。
無論、仕事の目標を達成させる完遂力、バイタリティ、計画性、業務改善能力なども大切になります。
共感性は大切
会社や組織を作る上で共感性は必要でしょうか?
一人で起業する場合には必要でしょうか?
確かに個人事業主として一人で仕事を進める場合、形式上は協調性を不要とします。
しかし、役所などに届を出す、顧客と交渉をする、事業拡大に伴い人を雇用することもあるでしょう。
また人は、日々の生活を過ごす上で人と関わって生きてゆきます。
相手の人が何を考え、感じて、求めているのか察して、行動を変えることは仕事だけではなく社会生活を過ごす上で必要になります。
私自身、共感性をテーマにコミュニケーションスキル(センス)研修を35年積み重ねてきました。まさにライフワークになるほどニーズはあると思います。
SE職
IT業界に従事する人でこの共感性が弱い方が応募する話を聞くことがありました。
「人と関わることが苦手なのでIT業界に応募してきました。」と学生が志望理由として話をされたそうです。
IT業界で求人の中心でもあるSE職は、本来ならチームで仕事をする業務が中心になること知らずに応募した受験者だと思います。
SEの仕事は、チームで働く社員の仕事内容に興味・関心を抱き、必要に応じて相互支援をすることも必要になるでしょう。さらに自分の仕事について進捗情況を報告する必要があります。
1つの仕事を分担して任せているので、業務を遂行するバランスが崩れると目標に到達できなくなるリスクがあります。しかし、採用では全員、適性検査の筆記試験は得点の高い優秀な人を採用していましたそうです。
何が不足していたのか?
業務を遂行する上で必要な力は、他の人が何をしているか、どのような感情を抱いているのか感じる力、察する力です。今回のケースではこれらが不足していたと思います。
これが共感性です。営業や接客などで共感性の必要性は理解されすいですが、IT業界で共感性が必要なことを理解しないで就職すると、結果的に業務を遂行する上で支障が出る可能性が高くなります。
共感性を測る
どのようにして共感性の有無や高さを確認するか。私自身の採用面接官の経験を踏まえて説明します。
過去の経験などから、『人の機微に触れた経験や、人の気持ちを察して行動した経験』などを確認することがあります。
さらに様々な角度から質問をしてゆくなかで、人間関係の相関図を描きながら、職場における行動を予測してきました。
イメージ力
つまり、面接官や上司にも受験者と話をしながら、人間関係などをイメージする力が必要になります。また、共感性を受験者に求めるなら、共感性の高い人が面接官、管理職であって欲しいと思います。
そのためには、面接官を担当する管理職の選抜から見直す必要があります。無論、職場に入ってから共感性を強化することはある程度は可能だと思います。
強化する方法については改めて書きます。私自身の共感性は平均より少しは高いと思いながら面接官を務めてきました。
本文章は、私自身の実体験からまとめたものです。また特定の個人を表現しないように複数のケースを合わせています。
参考文献:「性格」「個性と適性の心理学」詫摩武俊著
「性格の診断」佐野勝男著 「性格」宮城音哉著 「人事アセスメント入門」二村英幸著
コミュニケーションスキルは、自己と他者理解から成立します。私自身、子ども時代から人間関係で苦労してきました。感受性が豊かなのもありますが、人の心情を察する力は高いと思います。この苦労してきた経験を研修を通じて話をしてきました。無論、大学では学生に伝えています。共感性の溢れた職場になることが夢ですが、時代は逆に進行しているような気がします。川村稔