就職氷河期世代の採用選考と面接の評価について

就職氷河期世代の評価方法 

いわゆる就職氷河期世代の中途採用を国家公務員を始め、各自治体で行われています。

そこで、選考に携わった経験から採用の評価方法について提言をします。

受験者の特性を把握する。

就職氷河期枠などの受験者(応募者)の選考を行う前提は、過去の定期採用、社会人経験者採用とは異なります。

具体的には、『年齢の幅が広い、正社員経験の比較的少ない、様々な経歴を持つ受験者など』から選考をする点が特徴してあげられます。

しかし、従来の採用形態(定期採用等)と条件など異なっていても、採用選考の目的である『職場の期待に沿う働き=成果を上げる、職務適性を有する人物』を選考するためにコンピテンシーを評価する点は、特別な条件を設けない限りは共通となります。

そこで、公務員適性の基本軸である従来のPDCAサイクルを中心としたコンピテンシー評価の観点は変えずに、若干の修正をします。

選考方法の提案。

私自身、就職氷河期世代を含めた就職相談、採用面接に携わった経験から、理想の選考に近づけるための提案を致します。

評価する幅を広げる。

従来の社会人採用の評価基準は、『困難な課題や出来事を乗り越えながら、長期・持続的に成果を繰り返し上げることができる力』、『プロジェクトの目標に向け、主体的に周囲を巻き込む力』、『管理職などのマネジャー経験』などがあります。

これらは新卒や社会人経験者を中心にした評価ポイントとなっています。

しかし、今回、就職氷河期枠の有資格者は正社員として働いた経験値は比較的少ないと予想されるます。

そこで、『短期間または非正規雇用において経験した主体的に行動した経験』、『リーダーを任された経験』、『職場の改善』、『ボランティア活動経験』、『日常の社会活動経験』、『資格取得のための努力』などにも注目するようにして評価対象の幅を広げるようにします。

社会経験を問う試験。

筆記試験は、新卒者とは年齢的にも異なることから、従来の知識試験や適性試験が妥当かを検討する必要があります。

試験時間的に制約はありますが、出来るだけ受験者に不利にならないように、会社組織以外の活動を問う課題なども課すことをお勧めします。

所謂、筆記試験に偏らない試験をこれからの、採用選考試験では、提案したします。

筆記試験=職務遂行能力と同一に勘違いをされる方が多いようですが、筆記試験は、ある一定の知識などを有するか否かを確認するために行うものであり、職務遂行能力を検討するには、多面的な側面から評価をする必要があることを改めてお伝えします。

筆記試験を導入する場合は、従来の選考試験と同様に試験の結果と働く職員の相関を確認することで、自信を持って選考活動を進めることができるようになります。

以上のように、対象となる受験者の特徴を考慮し、評価観点の柔軟な変更を検討して欲しいと思います。

短期間で成果を出せる力。

たとえ、正社員としての経験が少ない状況であっても、職場で必要な職務遂行能力を、『短期間で主体的に改善し、成果を出すことができる力』、『短期間で発揮した集中力、成果を出すための指導力』に置き換え短期間で成果を出せる力として評価するようにします。

これらの経験を繋げ、職場の求める職務遂行能力として評価するようにして採用選考をすることをお勧めします。

『短期間で成果を出した経験』を繋げることで、繰り返し力を発揮できる人物と想定します。

評価の観点を受験資格に合わせて視点を変えることは、受験者の持つ潜在的な資質を見出すことにも繋がると言えましょう。

雇用の機会を活かす採用。

年齢の幅を広げたことだけでも、多様な経歴を持つ人や、社会経験を有する受験者が集まる可能性があります。

それらを考慮し、事前に職場で必要となる職務遂行能力を明確化すること、またできるだけ受験者のキャリアから想定されるケースを作って準備をすることで選考を公平で、受験者の期待に沿う良い選考になると思われます。

就職氷河期世代に注目をした採用は、新しい雇用機会の創出になります。

機会を活かすためにも、受験者の受験資格に合わせた評価ポイントの修正するなど工夫も必要になります。

また面接官も、従来の選考から意識を変えることで、より公平で受験者の資質を引き出す採用選考につながると思われます。

以上、受験者、雇用側の双方が幸せになる選考になって欲しいと願います。

 

川村稔経歴pdf

 

就職氷河期世代の採用に限らず、受験年齢や条件などを緩和した採用形態が増えています。そのたび、採用面接官の研修を依頼されてきました。

改めて、一般的な定期採用とは異なる母集団の受験者像をあらかじめ想定し、面接評定票の作成も行う必要性を実感しました。