新型コロナ対策に対応した『Web採用・面接の在り方』
採用選考のあり方が変わる
今年は、新型コロナウイルス対策を取りながら、WEBシステムを活用した『採用面接官研修』『採用面接官受託』『職務適性分析』『社・職員教育』などに携わる事が出来ました。 2020年を振り返り、『採用選考』における懸念やアドバイスなどをさせていただきます。 ※就職氷河期世代の採用活動をされている団体は、『就職氷河期採用』のページをご覧ください。
❶筆記試験、面接試験の在り方について
今年ほど、Web試験やWeb面接を導入された年はないと思います。 しかし、急いで導入されたケースも多いことから、複数の懸念について声をお寄せいただいています。特に多かったのは、Web面接が上手く運用できない、適性検査と職務評価がリンクしない、受験者の資質が把握できない等がありました。 適性検査のコンテンツ開発と面接官指導に30年間携わった経験から、次の点を提言致します。
❷Web試験の妥当性、信頼性は保証されていますか。
適性検査の活用は、人の生涯を決定する重要な業務だと思います。 しかし、どのように開発されたのか確認することは、適性検査を供給する会社から提供される情報から行います。つまり、会社の良心に任せているのが現状でしょう。 現在、業界で品質をチェックする中立的な公的機関は存在しておりません。 過去の紙ベースで行っていた試験をWeb試験に転用した場合、どのように影響があるか、妥当性、信頼性はどのように考えるかを改めて適性検査供給会社に確認をして欲しいと思います。 さらに、今回のWeb試験導入に合わせて、適性検査の精度や職務適性との関連性についての検証など確認をお勧めします。 適性検査の開発現場を歩む中で、適性の検証について再考する機会が度々ありました。 受験生の将来を左右する選考の試験であることを考え、利用者側で試験の精度など再検討、検証をお勧めします。 また、過度に適性検査に依存する事は避けて、バランス良く人物を評価して欲しいと思います。
❸Web面接について
Web面接については、まだ検証など明確には出ていないようです。 私自身、Web面接を通じた懸念事項は『Web試験・面接』を失敗しないでもお伝えしましたが、経験値を重ねる度に難しさを痛感しています。 また、対面との違いに受験者も戸惑うことが多いのも事実です。
メリット
⑴遠距離の受験者や会社を結び付けることが可能 ⑵交通費などの経費削減可能 ⑶会議室など不要で受験可能 ⑷受験者にとり、緊張感の比較的少ない面接が可能 ⑸スケジュールの変更などが可能
ディメリット
⑴受験者、面接官ともに雰囲気が伝わりにくい ⑵表情や話し方など細かな点が分かりにくい ⑶所作など一連の動作を観察しにくい ⑷通信機器や通信環境の影響を受けやすい ⑸プライベートな世界に入るリスクがある 特に、難しさは「表情」「雰囲気」「所作」など一連の全体イメージを把握することは難しい点がありました。特に自然なコミュニケーションを把握することは難しいという声が多くありました。 オンラインで職務が全て終了する場合を除いて、一緒に働く上で大切な部分の評価が難しくなります。 ある組織の評定票で「部下にできるか」「共に働くことができるか」を最終判断基準とされていたケースもありました。 しかし、このWeb面接は、この点を評価する上で大切な情報が不足する懸念があります。 無論、職務遂行能力を中心に採用選考は進めてゆきますが、人と人の繋がりを重視する日本的組織で働くためには、十分注意をして欲しいと思います。 特に、人材に関しての影響は数年後に影響が出てくることが想定され、良く出れば良いのですが、マイナスに出ることは受験者、雇用側にとっても避けて欲しいと願います。
雇用と受験者ともに誤解が生じる可能性
会社説明会、インターンシップから筆記試験、面接試験までWeb上で行ってきた今年は、多くの課題を残しました。 双方の距離を縮めるメリットはありますが、デメリットの部分もあることも理解し、これからの内定者研修に繋げて欲しいと思います。
学生へ
学生も初めての経験で戸惑うこともあったと思いますが、多くの学生も同じような経験をしています。 その中で、自分のできることを考え、行動して欲しいと思います。社会全体が初めての経験をしているのですから。
私自身、10年間継続している大学の講師、障がい者支援事業などを通じて多くの気づきがありました。 おかげさまで、視野を広げるご相談や新しい取り組みをさせていただいております。 改めて、追加情報をアップ致します。