面接で聞いてはいけない質問(厚生労働省)とWeb面接の注意点 2023

差別のない公正な採用選考の実施にむけて積極的な取組みをする必要があります。

採用選考と”面接”のプロセスを進める中で、守るべき事項があります。

就職の機会均等を確保、応募者の基本的人権を尊重するために、差別につながるような採用選考、面接を避けなければなりません。厚生労働省のホームページを参考にしてください。
コラム:学生や応募者、雇用側の幸せ
大学で講師を務め、学生から就職差別に繋がる選考や面接について相談を受けることがあります。社会的な環境により、雇用情勢は大きく変化をします。
しかし、学生や応募者は、就職活動は選考を受ける立場であることは変わりません。その点をご理解いただいた上で、採用選考や面接試験は、”職務遂行能力”や”職務適性”を評価する場であるとをご確認いただけますと幸いです。

論文や面接で避けるべきテーマ

『家庭』『生い立ち』など家庭環境に関わるテーマや『尊敬する人物』などは不適切なテーマとして揚げらえています。
テーマを設定する前に、『職場で必要となる課題』を選び、『何を評価するか』を決めておくことをお勧めします。
面接官の研修を行う時に最も注意する内容です。何が不適切で適切な質問か、評価方法か、試験内容も含めて理解をするようにしています。
コミュニケーションツールがSNS時代になり、組織の信用を失墜させる要因にもなりかねません。それだけ、採用選考と面接は慎重に取り組むことをお勧めします。
社員や職員研修を進める際にも、講師差別につながる言葉は避けなければなりません。面接官研修を進める上で、受講者から質問事例などを訪ねれた時、的確な判断、助言を求められます。後から修正が効きにくい事柄なので慎重さを最も求める瞬間でもあります。

就職差別につながる質問や論文、書類に注意する。

私は、採用面接官研修やセミナー講師を務める際だけではなく、論文のテーマ作成、適性検査開発に関わる業務を30年務めてきました。そこで、見過ごしてしまう”差別”と思われる表現に多く見つけてきました。

就職差別と思われる事項に神経を遣う理由を説明致します。

母校の駒澤大学在学中、マスコミュニケーション研究所にて伊達宗克先生(NHK放送記者・同解説委員)より、NHK基準の差別に関する事項を学んだ経験が基礎となっております。
その後、国際会議を運営する会社勤務時代に、ILO条約批准会議、国際平和会議などの仕事をする中で、国際機関や行政関係者から人権問題について深く教えていただきました。
その経験から、エントリシート、論文のテーマ、面接時の質問項目、適性検査の質問項目、コメント、採用マニュアルなどの執筆と添削をしてきました。その中で、差別と思われる事項を度々、見つけ削除、訂正などのアドバイスをしてきました。
特に、就職試験で提出するエントリーシートの項目を作成するご依頼をいただきます。意外と気づかないと思いますが、就職差別に繋がるリスクがある書類を見ることも多くありました。また、面接官を依頼され、管理職や役員と面接を進める中で就職差別だけではなく、セクハラ問題に繋がると思われる質問などについて、役職員にお伝えしたこともあります。

オンライン面接の注意

また、求人案内や募集要項などにも問題と思われる事項を含むことがあります。家族構成からプライベートな内容まで含めて、就職差別に繋がると思われる質問をするリスクは、オンライン面接によって高くなるでしょう。
社会環境に関係なく、オンライン面接は地理的格差を解消するためにも、定着をすると思われます。しかし、面接を受ける場所が、自宅の場合は、私的な話(家庭環境など)に及ばないように充分注意をして欲しいと思います。
私自身、採用面接官研修を依頼された時は、必ず差別につながる恐れがある文言は質問事項、評定票、エントリーカード、履歴書など全てを確認させていただいております。しかし、年々、問題となる内容は変わりますので注意が必要です。
↪人事担当者を対象にした講演会で、ある就職コンサルタントと同席したことがありました。そこで、コンサルタントが講演の中で就職差別につながる言葉を使う姿を見て驚いて、注意を促す”メモ”を渡したことがありましたが・・・!!

また、驚くことに、学生向けの就職マニュル本の中に明らかに就職差別に繋がる文言(家族などへの言及ほか)を見つけることが度々あります。
これらは、応募者への心理的な負担を強いることや、組織のマイナスイメージだけではなく、ダメージにつながるリスクが生じる可能性があります。
以上から、採用面接官を務める際に、一般的な学生向けの就職マニュアルなどを面接時の参考にする場合にケースがありますが、特に注意が必要とも言えましょう。

意外?適性試検査の質問項目やアウトプットコメントに注意

また、適性検査も、質問内容が適切か確認して使用するようにお願いします。適性検査などで、特定の病気を特定する質問項目を見つけることがありました。このような事が起きる理由は、適性検査や試験を作成する会社の就職や雇用問題に関する意識の差が出てしまうと考えられます。
※適性検査などを使用する場合は、質問項目なども確認をすることをお勧めします。適性検査のコメント等は、専門家が就職差別につながるコメントをチェックしているか確認することも良いでしょう。
面接官が適性検査を利用する場合、適性検査に書かれたコメントを参考に質問などをすることがあります。そこで、適性検査のコメントに問題がある場合は、採用面接の運営に問題が生じかねませんので、十分注意をしてください。また、適性検査から出ている質問事例も内容を良く理解するために、質問の意図を適性検査提供会社に確認することをお勧めします。
リスクを説明してきましたが、リスクを避けることは、受験者にとり“働きやすい、人を大事にする組織”として受験者に受け止められる機会となります。採用試験については、まだ未整備の部分が見受けられますので、注意を払ってほしいと思います。

面接と論文の不適切と思われる質問やテーマ例:

①家族について
②あなたの支持政党
③親について
④尊敬する人物
⑤愛読書
⑥生まれ故郷
⑦あなたのお父さんは、どこの会社に勤めていますか。また役職は何ですか。
など多数あります。何故?適さない質問なのか?
どうすれば良いのかご質問を受けています。大切なことは、面接官は何を知りたい、確認したいかを再検討いただきたいと思います。
どうでしょうか。みなさまの選考では不適切なテーマを面接時の質問、論文で課していませんか。
採用だけではなく、様々な場所で社会問題にもなっている、性差別なども解消され、職務適性などに注目をする社会になって欲しいと願っています。
以上、私自身が適性検査を開発と販売する会社に勤務をする中で、体験したことから記述しております。参考になれば幸いです。

 

川村稔経歴pdf